月刊雑誌の編集長時代のお話。 紙媒体における読者ハガキは、直接読者の声を聞ける貴重なチャネルだ。差し出す方としては、編集部に大量に届くであろう読者ハガキなどにいちいち目を通してはいないだろうと思いがちだが、毎日のハガキをチェックするのは編集長の日課である。周りの編集長も同様だったから、私だけの趣味ではないだろう。 おハガキの内容は、激励あり、お叱りありとさまざまだが、編集長として困ってしまうのは、次のようなものである。 「特集記事、大変参考になりました。一般論はよく分かったのですが、私が知りたいのは、私が持っている○×△社の○×△という製品に○×△という周辺機器を接続して、ソフトウェアには○×△をインストールしているケースでどうなるのか、ということなのです」 あまりに身勝手な読者の意見、とかたづけてしまえば簡単だ。しかしこの意見は、マスメディアの限界を浮き彫りにしている。 テーマやつくり、