「ドラとバケルともうひとつ」と聞いて「知っている」と答える方は極めて稀ではないかと思う。「ドラ」はドラえもん、「バケル」はバケルくんとして、「もうひとつ」とは一体どういうことなのか? 「小学四年生」1975年4月号~1976年3月号 /藤子・F・不二雄大全集「ドラえもん」20巻1975年度の一年間、「小学四年生」だけが読めた特別企画が存在しており、それが「ドラとバケルともうひとつ」である。 藤子F史においてもこの異色の企画が、どういう流れで誕生し、どのような内容だったのか。本稿ではそのあたりを詳しく解説する。 企画が立ち上がるまで 突然だが、1974年という年を、藤子F奇跡の一年と勝手に位置付けている。それは、この一年が藤子先生にとって多種多様な傑作を発表した、あまりに多忙な年だったからである。(加えて僕が生まれた年という意味合いもある) 把握できている限りで、この年に発表した作品を並べて