なぜ今、これらの所得税制をいじる必要があるのか。増税がしたいからか。そうではない。「所得再分配機能の回復」、つまり、「所得格差是正」を早期に行うためだ。特に世代間格差の是正は、遅らせれば格差を縮める機会を失ってしまう。ただ、低所得層に恩恵が及ぶような給付増や減税をするだけでは、所得格差は縮まらない。そのための財源も必要となる。低所得層に恩恵が及ぶような減税をすると同時に、高所得層には増税をセットで行うことで、初めて所得格差が縮小できる。全体としては税収中立(増減税ゼロ)とすることを想定している。 給与所得控除を減らせば高所得層のみメリット その方向性は、有識者や経営者など専門家で構成される政府税制調査会(内閣総理大臣の諮問機関)が11月20日に取りまとめた報告書、「経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告2」に打ち出されている。 そこでは、個人所得課税の課題の1つとして、「