当時、中国の所得レベルが上がり、巨大な富裕層および中流層が生まれてきていたときだった。これらの人々の旺盛な購買欲と購買力に、日本が「買い負け」していた。それがカニの価格上昇の理由だったのだ。 戦後の日本で経済が復興しつつある当時、アメリカのドラマを見た人がその家庭内で当たり前のように使われている洗濯機や冷蔵庫を見て、消費意欲を掻き立てられたという。そして、生活が豊かになるにしたがって、こうした家電が飛ぶように売れるようになった。 まさに同じことが中国で起きていたわけだ。日本のカニの味を知った中国の富裕層や中流層が、「こんなにおいしいものがあるのか!」と消費意欲を掻き立てられ、実際にそれを手に入れるだけの購買力を手に入れたのだ。 「買い負け」ていたのに気がつかなかった そういう視点を持つと、多くの分野で日本が「買い負け」している状況が見えてきた。不動産がその典型で、私の知人の不動産会社社長に