児童相談所(児相)の児童福祉司として働いてきた青山さくらさんが、児相の日常とそこで働く人の思いを描く連載「ジソウのお仕事」。今回は、母親に暴力を振るってしまう高校生の息子と、「こわい」と言いながら離れることができない母親のお話です。 ◇ ◇ ◇ 「息子に蹴られたんです」。窓口に相談に来たお母さんの顔は、マスクからはみ出すほど紫色にはれていた。 高校生のGくんは中学から不登校だった。なんとか高校に進学したものの、教室に入れず、登校をうながした母を殴り倒し、倒れた母の顔を何度も蹴った。殺される、と思って児童相談所(児相)に逃げてきたようだった。