刑事裁判を傍聴すると、時に「供述弱者」の被告人に出会うことがある。知的障害や発達障害、または性格上の特性、言語の問題などから、取り調べや裁判で他者に簡単に迎合し、自分自身を防御する力に乏しい人たちのことを指す。 たとえば、2003年に滋賀県東近江市の湖東記念病院で、入院中の患者が死亡したことをめぐり、殺人罪に問われた元看護助手の西山美香さん(41)は、懲役12年の判決を受け服役後、再審無罪が確定した。再審で注目されたのは、西山さんが「供述弱者」にあたるのではないかという点だった。 西山さんの再審に際して行われた鑑定では、彼女が軽度の知的障害と発達障害、愛着障害などを持つと判断されている。こうした特性によって、西山さんは取り調べを担当した捜査官に好意を持った上、虚偽の自白をしたと判決でも認定された。 刑事裁判の場では、西山さんと同じような「供述弱者」の疑いを抱く被告人を目にすることがある。現