「人間不信に陥るよ」。それまで不平不満も言わず、まじめに働いていたエンジニアがある時、急に態度を変える。IT業界における労使トラブルでよく耳にする話だ。決して労働環境が整備されているとはいえない業界にあって、こうしたトラブルはいま、現場で頻繁に起きている。今回、当事者となってしまった東京都内の事業者も、「話に聞いていたが、まさか自分がという思いだ」と打ち明ける。 「不平不満も言わず、まじめに働くいいやつだ」。社長が最初に受けた印象で、何事もなく半年が過ぎようとしていたが、それまで何も言わなかったエンジニアが有休を取りたいと申し出てきた。代わりのエンジニアを用意するだけの余裕はない同社にとって、有休とはいえ休みを取られるのは痛手だ。社長は状況を説明した上で、苦肉の策として、有休を買い取ることで了承を得ようと試みた。 一時はそれでしのげたが、そのエンジニアの態度は徐々に悪化。何かといえば不平不