メタSFとして展開し、家族小説としてまとめあげてみせ、サイエンス・フィクションでもあり、リチャード・パワーズを思い起こさせる要素もある、その異質な個性がデビュー作から発揮されているのがこの『SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと』だ。語りはクレバーかつナイーブで構成はシンプル。世界観の把握、構造の面白さと何度読んでも飽きないようなスルメ小説になってくれそうな味わい深さがある。でも最後まで読み終えるとその力強い言葉と、宣言にとてもすっきりとした、いい気持ちになる傑作だぞー。 お話は一言で表すならタイムマシン技術者であるチャールズ・ユウ(著者と同名)がタイムマシン研究者であった父を探すお話。だが自分で自分を撃ってしまって最悪のパラドックスに陥ってしまうわ(バカ)、撃ってしまった自分からは『SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと』という本を渡され、「全ては本の中にある、本が鍵だ」という思わせぶり
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