1980年代に実施した徹底的な犯罪防止政策により、1990年代前半までの間、犯罪発生数を激減させたニューヨーク市。しかし1995年を境に減少のスピードは鈍化してしまいます。警官の数を増やしても、人材の質を上げようと採用活動に工夫を凝らしても、状況に変化が見られないことに危機感を抱いていた市警トップのレイモンド・ケリー本部長は、それまで顧みられていなかった、あるポイントに着目します。 それは「情報」。紙ベースで、しかも部署ごとにバラバラに管理されていた犯罪情報を一元化することで、業務の効率化が図れるのではないか、というのがケリー氏のアイデアでした。 とはいえ、ケリー氏本人は警察組織の叩き上げ。情報の管理に関しては素人も同然です。そこで彼は、組織に最高情報責任者(CIO)を置くことを決定します。それまで市警の役員に民間出身者が起用されたことなどありませんでしたが、このままではこれ以上の犯罪減少