高知県はアジアモンスーン圏なのだとつくづく感じる。雨が多い。四国山脈にぶつかった分厚い雲は大量の雨となって森に降り、やがていく筋もの川の流れに姿を変えて太平洋を目指す。そのなかに仁淀川という高い透明度を持つ川がある。流路延長124キロ。四国では吉野川、四万十川に続く三番目に大きい川である。別段、風光明美な観光地があるわけではないが、それぞれの流域には古い風土の香りが漂っていて、少し大袈裟にいえば日本の原川をとどめた川なのである。高度成長期以前には全国どこにでも見られたごく普通の川だが、いまではこんな川はめっきり少なくなった。 仁淀川を撮影しはじめてからずいぶん年月が経ってしまった。それでも私は飽きることなくこの川に通い、カメラ片手にせっせと季節のかけらを拾いつづけている。飽きない理由は、多分取り巻く自然と季節の移ろいがあの手この手で私を楽しませてくれるからだろう。言い換えると、無数の小さな