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相沢光一（スポーツライター） 【第16回】 2008年06月03日 年収200万円以下の騎手も！ 競馬界にも広がる格差社会 ―― チャンスも富も一部の人に集中。強まる優勝劣敗の論理 6月1日、東京競馬場で第75回日本ダービーが行われた。勝ったのは1番人気のディープスカイ。騎乗した四位洋文は昨年のウォッカに続き、2年連続ダービー制覇の快挙を成し遂げた。 レースが行われた府中競馬場には12万5千人ものファンが来場し、売上は約280億円を記録。とはいえ昨年比で見ると観客動員は95％、売上は91％。入場者、売上ともに減少が続いている。 ひと昔前は普段競馬をやらない人でも春のダービーと暮れの有馬記念ぐらいは話題にし、お付き合いの馬券を買ったものだ。しかし今は、他に熱中できる対象が増えたせいか、競馬に興味を持つ人と持たない人が、はっきりと分かれるようになった。 ネット馬券から一口馬主まで 様変

2008年日本ダービーの勝利騎手インタビュー中に客のヤジにキレて「うるせえ！」 なお、客のヤジは「しーい、しーい、しーい」と言っている模様。（「しね」ではない、おそらく）

裁決の話が紛糾するたびに出るのが「明確な基準を示せ」という話だが、どこまで行ってもアナログなジャッジである競馬の審判に、明確な基準が示せるかどうかは微妙だ。「明確な基準を示せ→このままではファンの不審が広がるばかりであろう」的なセットフレーズでなにかを成し遂げたような気になっていればいいわけではない。 一方で、「示せるところは示す」ということはあったほうがいい。例えば、今回の事例もそれに近いと思うが「合わせ技一本」はあるのかどうか＝単発では降着に至らない妨害を複数行った場合はどうなるるのか。こういった、ＦＡＱのようにして蓄積できるものはすぐにでもしたほうがいい。「降着なしの騎乗停止」も、かねてより「そういうこともある」と強くアナウンスしていれば、今回ほど不評を買うこともなかったはずだ。 続いて、構造的な問題を考える。現状存在する問題は、 １．ＪＲＡの裁決は自らの無謬性を前提としている

有名馬主の後援者が取組前の支度部屋に入り込み、禁煙にもかかわらず紫煙をくゆらせるなど、緊張感も緩んでいる。もはや終戦ムードと言っていい。（日経） これは横綱・朝青龍が千代大海に敗れた先場所、支度部屋の様子を報じたものだ。有力馬主が誰かは書かれていないが、朝青龍の後援者と言えば、あの人しか思い浮かばない。アドマイヤ軍団の総帥、近藤利一。ちなみに同日のスポニチにも、朝青龍が「支度部屋では馬主の近藤利一氏と談笑」していたと掲載されている。解体業から伸し上がり、相撲界でも競馬界でも絶大な影響力を持ち、押しも押されぬ実力者となった近藤。地頭も黙る阪神馬主協会会長である。今シーズンもアドマイヤジュピタで天皇賞を制し、ダービーにもアドマイヤコマンドという有力候補を送り込み、我が世の春を謳歌している模様。平家の世ではないが、「アドマイヤにあらずんば人にあらず」というのが今の競馬界だ。 近藤と言えば、去年

２００８年オークス。ルールが公正であるかどうかは別として、ルールをルールとして適用すれば、トールポピーはどう考えても降着。なぜ降着にならなかったのか？　という（下衆の）勘繰りをいくつか挙げると、 （１）オークス（ＪｐｎⅠ）だから （２）ＪＲＡ生え抜き騎手だから （３）社台グループの馬だから といったところか。それぞれに個別に触れるのは避ける。 根源的な問題は、競馬の裁決は「レフェリー」なのか「アンパイア」なのかということ。アンパイアはルールに沿ってコール・アクションするだけの存在で、野球において抗議が認められ、なおかつ試合中に判定の変更がありうるのは、野球の審判はアンパイアだからである。 一方、レフェリーとは全権を委ねられている存在であり、建前としては「対戦する両チームから依頼を受けて裁いている」という存在。したがってレフェリーの判断は絶対かつ最終的なものであり、抗議すること自体が反則とな

オークス１着入線のトールポピーは明らかに降着、あるいは失格である。しかし、そうならなかったのは、政治力と人間関係のなせるわざというべきであろう。 トールポピーの生産牧場はノーザンファームで、馬主はキャロットファームである。要は、ともに社台系であり、強大な政治力の背景があるのだ。 人間関係というのは、角居厩舎＆池添である。周知の通り、角居厩舎は超一流で、管理馬にも素質馬が多い。となると、大きな被害を受けたアンカツ（オディール）や武（マイネレーツェル）などは、今後のことを考えると、アピールするのにも遠慮が出てくるのは当然であろう。一方の池添は、いわゆる小原グループで、こちらも厚い人間関係に守られている。 １着失格といえば、一昨年のエリザベス女王杯のカワカミプリンセスのことが思い浮かぶ。この馬は政治力など無に等しい三石川上牧場の生産馬で、同牧場の服色で走っていた。厩舎は西浦でジョッキーは本田。こ

過去２２年（ターゲットで検索できる範囲）のダービー馬のうち、４歳以降にＧⅠを勝った馬は４頭しかいない。 トウカイテイオー…４歳時ジャパンＣ・５歳時有馬記念 メイショウサムソン…４歳時天皇賞（春）（秋） スペシャルウィーク…４歳時天皇賞(春）（秋）・ジャパンＣ ディープインパクト…４歳時天皇賞（春）・宝塚記念・ジャパンＣ・有馬記念 「ＧⅠ２着」まで広げても次の２頭が追加されるだけ。 ジャングルポケット…４歳時天皇賞（春） ナリタブライアン…５歳時天皇賞（春） これら６頭の戦歴を調べると、 （１）３歳秋にもＧⅠ（ＪｐｎⅠ）を勝っている ナリタブライアン、ジャングルポケット、ディープインパクト （２）４歳緒戦１着 トウカイテイオー、スペシャルウィーク、メイショウサムソン のどちらかであり、ウオッカのように「ダービー以降未勝利」のまま４歳以降にＧⅠを勝ったことはない。 早い話が、ダービー馬は終わっ

◆ダイワスカーレット＠日刊「Myself」 根本的な部分としては、 「強い馬とは、２ちゃんでラキ珍と呼ばれる馬である」 みたいなのがある。ディープインパクトだってテイエムオペラオーだって、運がなければあそこまでの実績は残せません。ただ、詰まるところ「運は実力、運がないなら倍の努力をしてこそ実力」ではあるのだろう、みたいなのがあって、そこにダイワスカーレットの限界はあるのだろう。ある意味、今後ともドバイのレース選択に象徴されるように、距離路線や得意分野が必ずしもマッチしないタニノウォッカとのガチな勝負を行う機会が非常に少ないように思われる。そんな中で、彼女がタニノを「超える」には、もはや何回直接対決でタニノを降しても全く意味はなく、彼女のダービーに匹敵する勝利を何処かで得るしか方法がないのである。そして、ダービーを凌駕する舞台というのは、実際それほど存在しない。その意味では、ダイワスカーレッ