『放課後のプレアデス』四話を観て思い出していたのは世界一短い小説として有名なアウグスト・モンテロッソ『恐竜』のことだった。ひかるの目が覚めたとき、彼女はまだ宇宙にいて、まだステッキにまたがっていて、まだ夢の中のひとが隣にいて、まだ夢の中の音楽が聞こえていて、でもステッキは動いているから彼女はすでに月の衛星軌道上まで来ている。眠っているあいだに変わったこと、変わらなかったこと。 "Cuando despertó, el dinosaurio todavía estaba allí." 《目を覚ましたとき、恐竜はまだそこにいた》 この一文を読んでパッと頭に浮かぶ光景は大別すると二つになるだろう。眠る前に恐竜がそこにいて、眠っているあいだにいなくなると予期されていたにもかかわらず、目を覚ましても恐竜はまだそこにいた。あるいは夢の中で出会った恐竜が、目を覚ますとまだそのままそこにいた*1。どちらに