安田峰俊『中国・電脳大国の嘘 「ネット世論」に騙されてはいけない 』 (文藝春秋) 〈インターネットは厄介な隣国を変えるのか?〉 いま、中国のインターネット人口は五億人に達する、と言われる。 ネットではしばしば、従来の中国の官製報道とは異なる、中国のふつうの人々の、生のすなおな声、息吹きを感じることができる。 そこから、ここ一両年、日本のメディアでは、「ネット世論が中国を変える」という見かたが、よく示される。 しかしほんとうにそうだろうか。そう見ていいのだろうか。 この本はその問題を、実証的に考察したものである。著者は数年前から中国のネット掲示板にあらわれる言論を日本に紹介し、また実際に中国の各地へ行って、それら発信者と直接交流している元気のいい青年。この本は、題は大向う受けを狙ったやや浅薄な感じだが、内容はまことにしっかりした、誠実なものである。 中国のネット人口は五億だが、真に自由に