貴方が生まれて最初に書いたレビューは何ですか? 私の場合、『日本沈没』(小松左京)であった。もちろん映画版ではなく、小説版の方。 今作はその続編となる第二部。 小松左京氏は、『日本沈没』執筆直後から、第二部『日本漂流』の構想が在ったとあとがきに書いている。 そして、1973年の「第一部」から30年以上を経て、ついに「第二部」が世に出た。 沈み行く列島から「日本」を救い出すために極秘で進められた「D計画」。その中でMVPと言える人物が、この「異変」を最初に発見した田所博士でも、その片腕として最後まで「D計画」に関わった幸長助教授でもなく、主人公的立場の小野寺でもなく、中田という数学の鬼才だったことは、『日本沈没』を読んだ人ならばわかっているだろう。 この『日本沈没 第二部』には、「第一部」の登場人物が何人か描かれるが、最も多く描かれるのが、中田である。彼は、国土を失った日本政府の、首相となっ