夜更けに下の子どもが短く泣いて、電気を煌々と付けてトイレに走り、何事も無かったように電気を消してまた寝入ってしまった。 思わぬ時間に起こされた私は、泣き声から引き出された記憶の余りの生々しさに目を見開いて天井を眺めていた。 上の子が五歳の時に、私は二人目の子どもを身籠った。 妊婦となった私がまずしたことは、上の子と別の布団で眠ることだった。 当時の息子はいつも私と同じ布団で寝ていた。甘えん坊で、一人で眠ることがまだ苦手だった。夜な夜な繰り出されるキック、寝返りも打てない狭い布団に辟易しながらも、子どもと眠ることがそれまでの私は好きだった。 ところが妊娠と共に全ては変わってしまう。 二人目を身籠って、つわりが始まったとたん、子どもからも夫からも、とにかく触られることが嫌になってしまった。 ホルモンのバランスの問題だと産婦人科では言われた。 キタキツネの親は時が来ると守り育てた子ギツネに本気で