三浦カズがいた頃は、サッカーは国民的行事だった。たぶん今度のワールドカップは国民的行事ではなく、サッカーファンだけが見る大会になるだろう。本田と香川がスーパースターに見えるのが、サッカーファンの条件なのである。マクドナルドのハンバーガーを「うまいうまい」と食える味覚音痴しか、本田と香川のプレーは味わえないだろう。美食家なら嘔吐して吐瀉物として吐き出す食べ物を平気で食えるのがサッカーファンである。マー君と激突したら紙細工のようにペラペラと飛んでいくような体躯の男が、両腕に高級腕時計をはめて力こぶを作り、アポロンの彫像のように崇められている。 過去のワールドカップは生きるか死ぬかの戦いであったが、ザッケローニという監督はどうも不自然である。日本が惨敗したとして、ザッケローニが目を真っ赤にして唇をわなわなと震わせる光景は想像しがたい。負けて平然としてるのもまずいから、一芝居打って悔しがってみせる