パラレルキャリアとは、ドラッカーが『明日を支配するもの』で提唱した概念だそうだ。著者は端的に「会社勤めなどの本業をしっかりと持ちながら、本業以外に社会活動を行なう新しい生き方であり、仕組み」(Kindle No. 6)と定義づけている。こうした目新しい概念を把捉するためには、対義語と比較して考えると分かりやすい。著者は、パラレルキャリアの対概念として、シングルキャリアを置いている。その上で「自分が本業と考える組織、あるいは役割に全面的に依存してしまい、その価値観を疑問の余地なく受け入れ、その状態から変化する可能性すら想定していない場合」(Kindle No. 116)と定義する。したがって、自分自身の役割を多様に捉え、それぞれの役割の変容やその統合体としての自身のあり様の多様性を意識的に捉えることが、パラレルキャリアの本質と言えよう。さらには、もはや「本業」という考え方自体が、旧来の外的キ