もう身も蓋もなく言っちゃいますけどね、超オススメですよ! 砂漠を行くキャラバンを襲った連続殺人、スペインの風車の丘で繰り広げられる推理合戦、ロシアの修道院で勃発した列聖を巡る悲劇…ひとりの青年が世界各国で遭遇する、数々の異様な謎。選考委員を驚嘆させた第五回ミステリーズ!新人賞受賞作「砂漠を走る船の道」を巻頭に据え、美しいラストまで一瀉千里に突き進む驚異の連作推理誕生。大型新人の鮮烈なデビュー作。 5編からなる連作短編。世界を飛び回るジャーナリストの斉木という男が主人公かつ探偵役なので、5編とも舞台となる国が異なるというのがまず面白い趣向。砂漠で、修道院で、アマゾンの密林で、様々な事件に巻き込まれる。 とにかく動機の謎をめぐる「ホワイダニット(Why done it?)」が素晴らしい。例えば1作目「砂漠を走る船の道」では砂漠を横断するキャラバンで連続殺人が起きる。でも、このキャラバン、斉木を
レトロな下宿、真綿荘に集う人々の恋はどこかいびつで滑稽で切ない……。不器用な恋人達、不道徳な純愛など様々なかたちを描く。 レトロな下宿「真綿荘」に集う人々の恋はどれもままならない。超絶に性格の悪い美女に駆け落ちを迫られる大和君、彼に片想い中だが先輩に告白されて揺れる鯨ちゃん、女子高生の恋人の一途な愛情表現に戸惑う男嫌いでクールな椿。そして、大家で小説家の綿貫さんは、17年前ただ一度自分を抱いた男・晴雨(せう)を内縁の夫と呼ぶ――。『ナラタージュ』の著者渾身の恋愛小説。自分だけの至上の相手を貪欲に求める、熱い恋のあり方に心震える傑作です。 島本 理生 (シマモト リオ) 1983年東京都生まれ。98年「ヨル」で「鳩よ!」掌編小説コンクール年間MVP受賞。2003年『リトル・バイ・リトル』で野間文芸新人賞受賞。同作に続き、04年「生まれる森」で、06年「大きな熊が来る前に、おやすみ。」で芥川賞
中二階のオフィスへエスカレーターで戻る途中のサラリーマンがめぐらす超ミクロ的考察。靴紐が左右同時期に切れるのはなぜか。牛乳の容器が瓶からカートンに変わったときの素敵な衝撃。ミシン目を発明した人間への熱狂的賛辞等々、これまで誰も書こうとしなかった愉快ですごーく細かい小説。 昼休みを終えた男が、中二階のオフィスにつながっているエスカレーターに向かう場面から始まるのですが、読めども読めどもいつまで経ってもエスカレーターに乗りません。エスカレーターの前でトラブルに巻き込まれているわけではなく、ずっと回想シーン。海外ドラマ『24』はドラマ内の24時間がリアルタイム進行するけれど、この小説は何十秒かの時間を200ページにわたる時空間に引き伸ばしてしまっているのだ。 昼休みが始まるのはチャイムがなった瞬間なのか終わった瞬間か、昼休み前にオフィスで交わす30秒ぐらいの会話をスマートに終わらせるには?、オフ
なぜだろう。どこにでも転がっているようなありふれた話なのに、異様に面白く感じる。それだけストーリーテラーとしての技術が優れているということなんでしょうか。「フィーヴァードリーム」、「タフの方舟」、そして「氷と炎の歌」を書いてのけたジョージ・R・R・マーティンであれば、むしろそれぐらいできて当然と思うべきなのかもしれませんが。弘法筆を選ばずっていうしなあ。 収録作品は1981~1987年ごろに書かれたホラー系の中短編六本。「モンキー療法」が1984年ローカス賞、「子供たちの肖像」が1986年ネビュラ賞、「洋梨形の男」が1988年の第一回ブラム・ストーカー賞と、なかなかの大盤振る舞いです。作中のできごとが現実なのか、それとも語り手の妄想なのか、どちらとも取れる読ませ方があまりにスマートで、怖さ以上に語りの技巧にびびってしまいました。なんたる小説上手! ところで、僕がマーティンの小説でいつも楽し
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