(2013年02月08日改訂) 劇症型溶血性レンサ球菌感染症は突発的に発症し、急速に多臓器不全に進行するβ溶血を示すレンサ球菌による敗血症性ショック病態である。メデイアなどで「人食いバクテリア」といった病名で、センセーショナルな取り上げ方をされることがある。 疫学 劇症型溶血性レンサ球菌感染症は1987年に米国で最初に報告され、その後、ヨーロッパやアジアからも報告されている。日本における最初の典型的な症例は1992年に報告されており、毎年100-200人の患者が確認されている。そして、こ のうち約30%が死亡しており、きわめて致死率の高い感染症である。主な病原体はA群溶血性レンサ球菌である。A群溶血性レンサ球菌感染による一般的な疾患は咽頭炎であり、その多くは小児が罹患する。一方、劇症型溶血性レンサ球菌感染症は子供から大人まで広範囲の年齢層に発症するが、特に30歳以上の大人に多いのがひとつの