犯罪捜査の有力な手掛かりとなる指紋を布から採取する技術を、静岡県警掛川署のベテランと若手女性のコンビが開発した。織りの凹凸があり「指紋は出ない」が捜査員の常識だった。痴漢や強制わいせつ事件の立証や抑止に役立ちそうだ。 開発したのは刑事課鑑識係の広住幹夫警部補(52)と工藤優子巡査長(26)。発端となったのは、2011年1月に掛川市内の路上で発生した強制わいせつ事件だった。現場に駆け付けた工藤巡査長は、犯人が手を触れたはずの被害女性の洋服から指紋を採取できないと聞かされたことに納得できず、広住警部補と勤務終了後の空き時間に、布から採取する実験を開始。石や木、ビニールにも用いられる「シアノアクリレート法」という方法が効果的であることが分かってきた。 警察庁も関心を寄せ「布の種類や材質など、様々な観点から検証する必要がある」と指摘している。