さてこの3種の分子を混ぜたとします。ABは水素結合及びπスタッキングという力によってAとBを近くに引き寄せます。3分子は下の図のような形をとります。と、Aの脱離基とBの窒素が極めて近い位置(下中央)にやってきます。 要するにABはAとB2分子を引き寄せ、都合のよい位置に引っ張ってくることで、新しい仲間の誕生をアシストしてやっている(触媒作用)ということです。触媒であるABはどんどん増えてゆきますから、AとBが存在する限りABは加速度的に増えてゆくことになります。 Rebekらはもう一種類、似たような機構で増える自己増殖分子(A'B'としておきましょう)を発表しています。面白いことに、両タイプの合いの子(AB')は両親であるABやA'B'よりも効率よく増えてゆくことがわかっています。「藍よりも青し」を地で行くような話ですが、AB'は両親を超えた、あるいは「進化した」と表現してもいいでしょう。