酒の肴にもいろいろありますが、何も口に入れるだけが肴じゃございません。お酒は五感で楽しめるものです。 たとえば、味覚はもちろんのこと、視覚ならボトルのラベルや、バーのカウンターの木目、ライティングなど、視覚情報はいろいろとあります。 触覚ならグラスやコースターの素材感、灰皿の重量、良く締まった氷を指でなぞったときの、あの冷たさ。 嗅覚ならばグラスのなかで開いていくウイスキーの香りはもちろん、店中の酒と、紫煙(シエン)、さらには棚に収納された膨大なヴァイナルコレクションが醸し出すポリ塩化ビニールの匂いが混ざりあった、どこか懐かしくもある香り。 そして聴覚、隣の人の会話やグラスをカウンターに置く音、バーテンダーが氷を削る音、消防車、パトカーのサイレンなどなどありますが、なかでも耳に入ってくるのは、やはり音楽でしょう。 私は音楽が大好きで、さらにお酒も好きなので、そういった酒を提供して音楽もしっ