私は一見、八方美人の様に見えるが、実のところは六方美人二方ブスくらいである。 要するに人の好き嫌いが激しく、嫌いなヤツとは徹底的に距離を取るので、嫌いな二方からはブスに見えると思う。 しかしこれは人に対してであり、一般的に指す『好き嫌い』、つまり食べ物の好き嫌いはほとんどない。 幼少期に祖母より授けられた『食べ物を残すと目が潰れる』という、明らかに罪と罰が釣り合わんナマハゲ式教育をいまだに信じている節がある。 更に社会に出てからは、身から出たサビのせいで極めてクレージーな生活を送っていたので、食うに困る時期が長かった。 人間食うに困ると美味い不味い等はどうでもよくなり、腹が満たされれば幸せになるので、好き嫌いなんぞは強制的に無くなるし目が潰れるも怖いので、私は食うに困らなくなった今でも好き嫌いをしない。 しかし、そんな私でもどうしても食えぬものが二つだけある。 一つはピータン。 初めて食べ