ドイツ人が撮った日本映画、トイレ清掃の貧しい男を主人公としているというから、万引き家族や、パラサイト半地下の家族のような、アジア人はイエローモンキーだと納得させるニュアンスを崩さない、西洋人受けの良い作品なのかなと考えていたが、実に東京の都市生活を送る言葉にできない不安感を、どうすれば幸福にやり過ごせるのか? という示唆に富んだ内容だと言えそうだ。東京の都市生活を送るにおいて、どう生きるべきか? と問われて言葉を失ってしまうが、この作品は、全編、そのリアリティに溢れている。平山以外は、誰もが、都市生活を送る上での言葉を探し、伝えることで他者との通路の回復をはかっているのに、うまくいかないもどかしさを抱えている。 Tomoyama(三浦友和)が、居酒屋の女将であるMama(石川さゆり)と抱き合っているところを、役所広司演じる平山がのぞき見して、立ち去る場面がある。夜の河原で、Tomoyama