「機能する」衣服私はポピュラー音楽を研究対象としている。普段はロックやらヒップホップやらジャズやらを聴き漁り、シティポップや渋谷系で論文を書き、講義ではK-POPや米津玄師について語っている(ついでに指導教授はブラジル・バイーア太鼓と演歌とディスコの専門家である)。 フィールドワークで現場に出向くともなると、頼りないワードローブを前に頭を悩ませるのが常である。ラポール(1)——だなんて言葉をわざわざ持ってくるまでもなく、ファッションはそのコミュニティへ受け入れてもらうための大前提となる儀礼的コードなのだ。