対談玉三郎対談女流その世界 志村 ふくみさん（染織作家） たて糸は伝統よこ糸は現代 伝統をたて糸に、自然の色をよこ糸に染めて織りあげる日本工芸会会員、 日本伝統工芸展審査員である志村ふくみさんの手織紬の、 輝くような美しさは、見る人の目と心を強くとらえて離しません。 そこには、一筋に命をかけた人の仕事がうかがえます。──玉三郎 運、鈍、根の仕事を求めて 玉三郎 お待たせしてしまって、ごめんなさい。 志村 いえいえ、ゆうべは遅かったでしょ。踊り拝見しましたよ。とてもきれいだったわね。 玉三郎 嬉しい。わざわざお出かけいただいて、ありがとうございました。 志村 お母さまも、とてもよかった。びっくりしたわ。 玉三郎 母も、先生に観ていただけてよかった。父がいるころは、自分の作品といったようなものを、独りで創っていくことはなかなかできないでしょう。父がいればいたで……。そういう
