文化の育成のために国の支援が必要なケースは数多い。だが力を入れるあまり、その文化が本来持っている自由な空気や、批判精神を損なうことになっては本末転倒である。 文化庁が東京都内に建設しようとしている「国立メディア芸術総合センター(仮称)」には、その心配がある。 計画だと日本のアニメ、漫画、ゲームソフトを収集、展示する。世界に向けた発信施設を整備し、関連事業の育成や外国人観光客の増加につなげたいという。 2009年度の補正予算に117億円を計上した。2、3年以内の開館を目指す。 日本のアニメが元気だ。「崖(がけ)の上のポニョ」がヒットし、米アカデミー賞では「つみきのいえ」が短編アニメ賞を受けている。 日本のアニメや漫画がこれからも、世界をリードしていってほしいと思う。それでも、国が施設建設に巨費をつぎ込む必要があるのか疑問が残る。 一番の理由は、漫画などはもともと国の施策や世間の常