社説 先島陸自配備 中国脅威論大いに疑問2010年7月21日 防衛省は宮古島や石垣島に陸上自衛隊の国境警備部隊を、与那国島に陸自の沿岸監視部隊を配備する方向で検討している。 東アジアの経済統合が加速している。中国と台湾は先日、経済協力枠組み協定(ECFA)に調印した。中台の経済的な相互依存関係が緊密になる中で、武力衝突はほとんどあり得なくなりつつある。 防衛省はこの変化が、アジアの安全保障環境に確実に変化をもたらすことを過小評価してはいまいか。 軍備増強を図る中国を、日本の安全への「脅威」と明確に位置付けることには大いに疑問が残る。 そもそも国境警備は海上保安庁の役割ではないか。海上保安庁とのすみ分けも不十分なまま陸自配備を行えば、アジア地域の不安定要因となる可能性は否定できない。 ソ連が崩壊した後に策定された2004年の防衛計画の大綱は、これまでのソ連脅威論に基づく北方重視戦