遠方の銀河に含まれる重元素量と星形成活動の強さの関係を観測調査したところ、重元素量が星形成の強度に関係しないことが示された。これまで近傍の宇宙で知られていた関係とは異なる結果であり、銀河における星形成の理論に新たな疑問を投げかけるものである。 【2016年5月18日 すばる望遠鏡/ケック天文台】 星形成活動を行っている銀河の重元素(ヘリウムより重い元素)の量は、銀河へのガスの流入や星形成、銀河からガスが流出する過程が複雑に絡み合った結果として現れる。どのくらいの量の重元素が銀河に存在するのか、その量が星形成活動の強さと関係性があるのかどうかを調べることは、銀河の進化を明らかにする上で重要な手がかりになる。 スイス連邦工科大学チューリッヒ校の小野寺仁人さん(現・国立天文台ハワイ観測所)たちの研究チームは、ハワイ・マウナケアにあるW.M.ケック望遠鏡を用いて、110億年前の宇宙で典型的に見られ