ブックマーク / yakannnikki.hatenablog.jp (8)

  • 第69夜 - 夜間日記

    ショッピングモールの広場に、車を車庫入れするアトラクションがあった。広場の中心に乗用車が1台停まっており、それを数メートル後方にある壁の凹みに収めるのである。私も挑戦しようと思い、車の横に立つ係員に声を掛けたが、いざ乗車しようとした瞬間、バックの仕方とブレーキの掛け方をド忘れしてしまった。係員は「君はやめた方が良い」と言って、私に茶封筒を渡してきた。封筒を開けると、5センチ四方の小さな写真が数枚出てきた。私が幼少期に撮った写真だった。いずれも動物の写真で、ヒツジが数枚、ネコが1枚あった。どの写真も絶妙に可愛く無い瞬間を切り取っており、特にヒツジの目は、どの写真でも瞳孔が開き切っていて、気味の悪い顔だった。 6時間19分47秒。

    第69夜 - 夜間日記
  • 第65夜 - 夜間日記

    実家の一戸建てを事務所として活用していた。2階のリビングだったスペースには、十数人の同僚たちが働いている。「ピンポン」と鳴ったので、インターフォンカメラを確認すると、玄関前に知らないおばさんが映っていた。グレーのワンピースにショート丈のジャケットを羽織っており、歳は40歳くらいに見えた。知らない人だったが、気になるので1階まで降りてみると、おばさんが勝手に玄関を開けて、土足で入ってくるところだった。私は唖然としてしまったが、すぐに正気を取り戻して、おばさんにスリッパへ履き替えるようすすめた。階段を上がるおばさんの後ろをついて行きながら、おばさんの自己紹介を聞かされた。おばさんは1999年生まれで、なんと私と同じ23歳だった。2階に到着し、私は同僚たちと相談して、おばさんの話にアルミ製の相槌をうつことになった。 5時間41分23秒。

    第65夜 - 夜間日記
  • 第63夜 - 夜間日記

    高校の合宿で、国立図書館に泊まった。腰の高さの棚が何十列も並べられており、展示場のように広い館内のずっと奥まで続いていた。私たち生徒は4人ずつの班に分かれて、棚と棚の間に布団を敷いて寝た。館内は一晩中、電気がつけられたままだった。寝転びながら、隣の布団の同級生と「合宿で1番最後に起きたことある?」という話をした。翌日、私は全生徒内で1番最後に起床した。あわや出発に間に合わないところだった。 合宿から学校に戻ると、校舎内は銃撃戦の最中だった。私は同じ班のメンバーと共に、階段の踊り場に身を潜めた。声を出すと襲われる。一瞬も気を抜けない状況下で、メンバーの1人が「喉が渇いた」と言い出した。私たちは飲み物買うために、1階の裏口から、向かいに建つ集英社のビルへと走った。入り口の受付嬢たちの制止を無視して中央のエスカレーターを駆け上がり、3階のスーパーマーケットの飲料コーナーからペットボトルを1

    第63夜 - 夜間日記
  • 第59夜 - 夜間日記

    オフィス街の真ん中にある芝生の公園で、数十メートルも続く長い行列に並んでいた。先頭には大きなワゴンが置かれており、Tシャツやらワンピースやらバッグやらが山ほど入れられていた。私たちはワゴンの中から「正解」を取り出して、次の地点まで持って行かなければならない。列が進み、ようやく先頭までやって来て、私はワゴンに詰め込まれた皺くちゃの服の山に腕を突っ込んだ。掻き分けると、服やバッグに混ざって、不織布マスクの箱があった。これが「正解」だった。私はマスクの箱を抱えて公園を飛び出し、オフィス街を抜け、サバンナのような荒地を走って、第二地点であるプレハブの建物に駆け込んだ。やはりマスクの箱が「正解」だった。同じくマスクの箱を持って来た人たちが続々と到着した。「正解」を持って来られたのは、20人弱だった。やがて、1人の解説員が第三地点についての説明を始めたのだが、私は説明の意味が理解出来ず、オロオロしてい

    第59夜 - 夜間日記
  • 第55夜 - 夜間日記

    高校3年生の冬、明日で死ぬことが決まったので、文化祭で賑わう校舎を巡り歩きながら、同級生たちにお別れの挨拶をしてまわった。普段から仲の良い人や、小学校卒業以来一度も喋っていなかった人まで、ひとりひとりと握手して、一言「お元気で」と伝えた。泣いている人も居たが、私は努めて笑顔で挨拶した。次の日、見送りの同級生数人に見守られながら、私はひとり、数メートル四方の巨大な水槽に飛び込んだ。ゆっくりと水中へ沈んで行き、口からゴポゴポと空気が漏れて、気管に水が押し寄せ、流れ込んだ。入水から数十秒で、やがて、肺いっぱいまで水で満たされた。 7時間56分15秒。

    第55夜 - 夜間日記
  • 第53夜 - 夜間日記

    同級生の友人と2人で、お台場にある科学館へ行ってきた。宇宙科学がメインテーマの施設で、館内にはたくさんの望遠鏡が並んでおり、中には全長10メートルはありそうな、異様に細長い望遠鏡も展示されていた。 科学館を出て、お台場の駅へ向かうと、駅前ロータリーに身長5メートルほどのガンダムが歩いていた。人間が歩いているかのように自然な動きだったので、着ぐるみかと思われる。ガンダムの後ろを、スターウォーズの兵隊のような格好の手下たちが数人、着いて歩いており、駅前を行き交う人1人ずつに声を掛け、仲間に引き入れていた。私は兵隊に話しかけられないよう、隣を歩く友人に向かってひたすらに喋り続け、私たちは無事、勧誘されることのないまま駅に入ることが出来た。 7時間43分39秒。

    第53夜 - 夜間日記
  • 第46夜 - 夜間日記

    小学校の教室にて、5時間目は自習なので、生徒たちは各々好きなことをやって騒いでいた。担任の先生は椅子に座り、教卓に肘をついて、私が提出した「通り雨が」という詩を如何にもつまらなそうに朗読した。読み終わって、「こういうのを提出した人もいます」と言った。生徒たちは誰も聴いていなかった。私は居た堪れなくなり、友達の隣の席まで行って、「一緒に帰ってしまおう」と提案した。 友達は、牡丹についての絵を読んでいた。後ろから覗き込むと、赤ピンク色の牡丹が油絵で描かれていた。友達は熱心にページをめくっていたが、私には全ページ同じ牡丹の絵に見えた。友達は、「咲いたばかりの牡丹は赤色で、成長過程でピンク色になり、枯れて茶色になる」と教えてくれた。加えて「水色の牡丹だけは、最初から水色だ」とも教えてくれた。2人で帰り支度を済ませ、勝手に教室を抜け出した。 5時間4分49秒。

    第46夜 - 夜間日記
  • 第42夜 - 夜間日記

    虚無。 4時間39分35秒。

    第42夜 - 夜間日記
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