小説家を目指す人は多い。 それだけに、食べていくのは至難の業。 今年1月『利休にたずねよ』で 直木賞を受賞した山本氏は、 何が違っていたのだろうか。 サラリーマンになるのが嫌だったんです。プータローの元祖のようなものでして(笑)。大学卒業後は就職もせず、1年間、世界を旅して回りました。いわゆるバックパッカーですね。「何かが変わるかもしれない」と思って行ったんですが、結局、何も変わりませんでした。 日本に帰ってきたら、留年して5年生になっていた友達もちゃんと就職が決まっていて。「オレも社会復帰しないとまずいぞ」と、急いで上京し仕事を探したんです。 昔から「いつかは小説家に」と思っていましたから、少しでも文章を書ける仕事に就こうと、オフィス家具の業界誌の記者になりました。 ところが、いざ記者になってみると、書くことで食べていきたいなんて、とんでもなかった。文章も下手でしたが、それ以前に物を知ら