教養講座 高出力人工筋肉の開発とロボットへの応用 中村 太郎/中央大学理工学部准教授 専門分野 ロボティクス・メカトロニクス、機械システム、知能機械学 著者の研究室では、介護ロボットやリハビリシステム、パワーアシストなど、人間とロボットが協調活動するようなシステムに必要とされる技術として、人間の筋肉のように柔らかく、かつ優れた特性をもったアクチュエータ(駆動装置)の開発を行っている。今回は、著者らの開発した世界最高レベルの高出力ゴム人工筋肉とロボットへの応用について解説したいとおもう。 1.ゴム人工筋肉とはなにか? 空気圧ゴム人工筋肉(以下:人工筋肉)とは、ゴムのような弾性媒体材に空気等の流体を注入して動力を得るアクチュエータのひとつである。つまり、風船のようなゴム材と繊維を複合させて、その中に空気圧を印加すると、ある特定の方向に収縮力が発生する駆動装置として捕らえるとわかりやすい。このア