コネクショニズム・アプローチが成功した領域は知覚と運動の比較的低次のレベルであり、思考と言語の領域や知覚と運動の高次のレベルではあまりうまくいっていない。その点ではピンカーのコネクショニズム批判は正しい。 認知心理学には、データ駆動処理(ボトムアップ処理)と概念駆動処理(トップダウン処理)の考え方がある。データ駆動処理(ボトムアップ処理)とは、感覚入力からの処理であり、概念駆動処理(トップダウン処理)とは蓄積された知識からの処理である。例えば、私たちが人の声を聞くとき、純粋に声からの感覚データだけを元にその声を理解しているわけではなく、どのようなことが言われるかに関する知識や予測が関わっていることが実証研究から分かっている。データ駆動処理と概念駆動処理とがお互いに関連し合って情報が処理されている。 知覚や運動の高次のレベルがコネクショニズムでうまく行かないのは、概念駆動処理が関わっているか