土光さんは「仁」ある「倹」の実践者 長らくご無沙汰しておりました。読者の皆様には、誠に申し訳ございませんでした。 今回のテーマは、「倹」です。費用(コスト)を節約する「倹」であり、質素倹約の「倹」でもあります。この「倹」という字を私は見るたびに、故土光敏夫・元経団連会長(石川島播磨重工や東芝の社長などを歴任)のことを思い出します。 土光さんが政府の「臨調」会長などとして活躍されたことをご存じの方は多いと思います。夢とビジョンのある国家百年の計、国家百年の「仁」をなす信念をもって、無私の心で日本の発展に尽くされました。 徹底した経営合理化で石川島播磨重工業(当時)や東芝の立て直しを行った土光さんは、企業再建の名人ともいわれました。そしてよく「メザシの土光さん」とも言われ、当時の多くの国民に慕われていました。法師(僧侶)のような厳かで飾らぬ風貌と、朝食に奥様と2人で菜根の味噌汁とメザシを食べる