大阪教育大付属池田小学校(大阪府池田市)で8人が亡くなった児童殺傷事件は、8日で発生から16年を迎えた。被害者やかけがえのない人を失った遺族は、周りに支えられ、助けが必要な人に手を差し伸べながら、思いを伝えていく。 「あのときのお母さんだったのね」 2年生だった塚本花菜(かな)さん(当時7)を亡くした母の有紀さん(50)は、昨年春から、老人ホームの介護福祉士として働いている。 ある日、終末期の女性が意識もうろうとしながら「お母さん、しんどい、苦しい」とつぶやくのを聞き、胸が苦しくなった。「花菜ちゃんも亡くなる寸前まで、私のことを呼んでくれていたのかな」 16年前のあの日、市立池田病院に駆けつけた有紀さんは、ストレッチャーの上に横たわって亡くなっていた花菜さんと対面した。その時の花菜さんと、目の前の女性が重なって見えた。 それ以降、寝たきりの入居者の姿や、フロアを歩く看護師、白い布団を見ては