佐々木俊尚 現地レポート Vol.1 「客観中立報道」という枠組みを乗り越え 被災地から生まれた「メディアの可能性」 特別寄稿 そこに日本の未来はあるのか 4月20日から3日間、仙台から名取市、北上して気仙沼へと宮城県内の被災地を取材した。岩手県の陸前高田にも足を延ばした。津波に襲われ、ほとんどすべてが瓦礫となった街をいくつも見た。しかしそれらの恐ろしい光景を見ても、「凄い・・」「怖い・・」という脊髄反射的な感想しか浮かんでこない。語る言葉が何も見つからないのだ。 被災地のような現場に取材に行くのは新聞社を辞めて以来で、十数年ぶりだ。記者の勘みたいなものが錆び付いてしまったのだろうか、とも思った。しかし、どうも違うような気もする。 新聞記事によくあるような「人々の平和で幸せな生活を津波は洗い流し・・」といった形容詞で語るのは簡単だ。しかしそういうステレオタイプなことばを発したとしても、何か