タグ

ブックマーク / delete-all.hatenablog.com (5)

  • 上司の挑戦状 - Everything You’ve Ever Dreamed

    大地震後の或る朝、我が社を取り巻く交通機関は大混乱に陥っていた。災害対策営業会議が開かれる予定だったが、会議どころの状況ではなかったので僕は部長に電話した。「停電だろうが電車が止まろうが核戦争だろうが営業会議は絶対だ…防災マニュアルの作成は急がなければならない…会議に遅れた奴は査定に響く…会議の中止を提案する馬鹿はいないと思うが…」と部長はいった。苛立っていた。 会議開始予定時刻。会議室には部長の姿だけがなかった。ボロボロになって出社してきた営業部員には疲労の色がみえた。部長の仕打ちに恐怖し、ある男はやって来ないバスを見捨て15年ぶりに自転車を操縦し会議に臨んでいた。またある男は動かない電車をうち捨て痛風シックで傷んだ両足で無理矢理疾駆して会議に臨んでいた。すべて無駄であった。「事態に臨機応変に対応しなければ…」と会議の無期延期を告げる部長からの電話が入ったのは会議開始予定時刻10分後であ

    上司の挑戦状 - Everything You’ve Ever Dreamed
    sidetail
    sidetail 2011/03/23
    害悪でしか無い
  • 綺麗な死にざま。もがけ、あがけ。 - Everything You’ve Ever Dreamed

    綺麗な死に方ってなんだろう?祖父が入院して以来そんなことを考えている。人によって定義は違うだろうけれど、おそらく、晩節を汚さず、とか、立つ鳥跡を濁さずといった言葉が指し示す潔いイメージなんじゃないだろうか。 年末に倒れ鎌倉の病院に入院した祖父だが、今は、お医者さんから親族に連絡するよう言われるほどの危ない状態から脱している。安定しているといっても、一時的なものであって、百歳という年齢から手術は出来ず、つまり治らない。死んでいく祖父を僕は見ていることしかできない。 祖父は延命を拒否した。祖父は覚悟を決めたのだと親戚一同誰もがそう思った。 状態が安定して心にゆとりが出来たのだろう、祖父が今まで僕が見たことないような暴れ方をするようになった。「俺は棺桶みたいな部屋でいたくない」。「外に出たい。由比ヶ浜を散歩したい」。「なんでこんなところにいなきゃならないんだ、俺は治ったんだ!」。僕は見ていないの

    綺麗な死にざま。もがけ、あがけ。 - Everything You’ve Ever Dreamed
    sidetail
    sidetail 2011/01/28
    「許す」人さえいればその人は幸せだ。最後は祖父の死も「許す」んだろうなぁ。。。
  • 宅急便配達は二度ベルを鳴らす - Everything You’ve Ever Dreamed

    この日記は平成22年5月末に書かれた。ごく私的な愛の記録であるので、公開するつもりはなかった。だが、この地上で僕と同じような立場にある人の一助になればと思い、公開することにした。 **** 昨今の日の夏はたいへん蒸し暑く、過ごしにくいので、地方都市生活者の端くれである僕は、病めるときも、健やかなるときも、郊外のホームセンターで極めて安価に流通販売されていた木製スノコのうえで生活している。自慰行為も例外ではない。いやむしろ、しゅかしゅか自己発電中、心拍数ははね上がり、多少の発汗では放熱しきれないほど体温は上昇する。だから僕は夏季の体調管理について助言を求めてくる同僚営業マンに、課長という立場からではなく、ひとりの男としてオナニー・オン・スノコを推奨している。あの日の僕もオン・スノコ。EDを患っている僕はワールドカップ公式球のような名前を持つ錠剤バイアグラを服用して、覇っ。一人で鬨の声をあげ

    宅急便配達は二度ベルを鳴らす - Everything You’ve Ever Dreamed
    sidetail
    sidetail 2010/06/22
    ロック、そして結末は郷愁漂う
  • 透けブラ少女は空を翔る - Everything You’ve Ever Dreamed

    事故を告げる電光掲示板。僕はホームから夜空を眺めた。人身。遅延。予め組み込まれた橙色の文字列が素知らぬ顔で左から右へと秋風のなかをすり抜けていく。左から右へ。橙色のドット。駅員に詰問する会社員風の男。弁明する腕章を巻いた駅員。喧騒。ヘッドフォンをして気長に電車の到来を待つことにした僕に、女性が「なにがあったんですか」と尋ねてきた。僕は電光掲示板に映しだされた文字をそのまま声にして繰り返した。音のないヘッドフォンを介した僕の声はやけに無機質で遠く、あの掲示板の親戚みたいだった。ヘッドフォンの音量を上げる。プライマル・スクリームの「ロックス」が僕に飛び込んできた。 「ロックス」が収録されていたアルバムは出来損ないのストーンズみたいだった。カート・コバーンがショットガンで頭をぶち抜いたあの年の秋、大学生だった僕はダメストーンズをCDウォークマンに入れてヘビーローテーションしていた。あの日も何かの

    透けブラ少女は空を翔る - Everything You’ve Ever Dreamed
  • あの夏、地上最大のオッパイが。- Everything You’ve Ever Dreamed

    ピーチジョンのエロティックな広告写真。ホームに滑り込む電車の騒音をバックミュージックに、それを舐めるように見ている僕の後ろを一人の淑女が通り過ぎて行った。振り返り横顔を見る。間違いない。彼女だ。あの夏、僕の人生を、僕の未来を変えてしまった地上最大のオッパイの主。ヴィーナス。声をかけようとしたが名前を思い出せなかった。あれほど追い求めた存在であったのに。 1991年の夏。高校三年生だった僕と悪友の西ヤンは腐っていた。真面目にやっている連中、反抗している連中、すべてを斜めから見ていた。授業。夏期講習。体育祭の創作ダンスの練習。すべてをサボタージュして大半の時間を第二校舎の屋上で潰していた。僕らは屋上を「ヘヴン」と名付けて、毎日のように、流れていく雲や富士山のシルエットを眺めたり、昼寝をしたり、買ってきたエロを模写するという意味のない行動をしていた。空は青く、太陽の陽射しは心地よかった。いつか

    あの夏、地上最大のオッパイが。- Everything You’ve Ever Dreamed
  • 1