印刷 購入した土地を登記しないまま、知らない間に抵当権を設定され、競売にかけられた――。奄美諸島のサトウキビ農家だった男性が「競売は不当」と訴えた訴訟の上告審判決で、最高裁第二小法廷(竹内行夫裁判長)は16日、「抵当権が設定、登記された後も男性は10年以上、畑の占有を続けたため、抵当権は消滅した」と判断した。 民法は「所有の意思があり、平穏、公然に他人の物を10年占有した者は所有権を取得する」と定める。男性はこの規定によりいったん所有権を取得。その後に抵当権が設定され、さらに10年間、それを知らないまま占有を続けた。こうしたケースで抵当権を消滅させた判断は初めて。男性の勝訴が確定し、競売の開始は取り消されることになる。 男性は1970年3月に鹿児島県天城町の約4700平方メートルの土地を購入。所有権の登記をせずにサトウキビを99年まで栽培した。 購読されている方は、続きをご覧いただけ