流通大手「イオン」名誉顧問の小嶋千鶴子氏が5月20日に亡くなった。106歳だった。小嶋氏は、イオングループ創業者・岡田卓也氏の実姉で、かつて「弟を日本一にする」と公言していた。その言葉通り、家業の岡田屋呉服店は日本最大の流通企業となった。人事や組織経営の専門家だった小嶋氏は、数多くの名言を残している。『イオンを創った女』(プレジデント社)の著者・東海友和氏が6つの名言とその背景を解説する――。 小嶋千鶴子はジャスコ発足後の十数年間で最も腐心したのは、「見えざる資産の蓄積」だとのべている。目に見える資産の典型的なものとしては「お金」があげられる。お金や建物などは目に見えて計算可能であり、こうした資産は常にコスト削減や売り上げ増を追求し増やしていかねばならない。 その一方で、資産には見えざる資産がある。「知識」「技術」「人脈」といったものだ。こうした資産はBS(貸借対照表)には表れてこない。