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ブックマーク / www.enpitu.ne.jp (10)

  • よしもとばななさんの「ある居酒屋での不快なできごと」 - 活字中毒R。

    人生の旅をゆく』(よしもとばなな著・幻冬舎文庫)より。 【この間東京で居酒屋に行ったとき、もちろんビールやおつまみをたくさん注文したあとで、友だちがヨーロッパみやげのデザートワインを開けよう、と言い出した。その子は一時帰国していたが、もう当分の間外国に住むことが決定していて、その日は彼女の送別会もかねていたのだった。 それで、お店の人にこっそりとグラスをわけてくれる? と相談したら、気のいいバイトの女の子がビールグラスを余分に出してくれた。コルク用の栓抜きはないということだったので、近所にある閉店後の友だちの店から借りてきた。 それであまりおおっぴらに飲んではいけないから、こそこそと開けて小さく乾杯をして、一のワインを七人でちょっとずつ味見していたわけだ。 ちなみにお客さんは私たちしかいなかったし、閉店まであと二時間という感じであった。 するとまず、厨房でバイトの女の子が激しく叱られて

  • 活字中毒R。

    Switch』VOL.27 NO.7 JUL.2009(SWITCH PUBLISHING)の「LONG INTERVIEW〜鶴瓶になった男の物語」より。取材・文は川口美保さん。 【実家の裏手に回った鶴瓶の姿を見かけたのか、誰かが声をかけた。 「マーちゃん! 帰って来たんか?」 「姉ちゃん、懐かしいなあ! 元気か?」 鶴瓶の間髪おかない声を聞いて、女は嬉しそうに言った。 「もう偉うなってしまって、口も利かれへんと思ってたわ!」 隣の姉ちゃんだった。一回りは年上だろうその人を前にすると、鶴瓶はすぐ昔に戻った。家族の話、近所の人の話、二人の会話からは次々に懐かしい人の名前が飛び出す。 姉ちゃんが息せき切るように言った。 「マーちゃんのお母さんはべっぴんさんやった。ここに来はったとき二十八か九だったと思うわ。スタイル良くて背も高かった。子供もぼちぼちできていったやろ。私な、子供のとき、あんなお

    sijaku
    sijaku 2009/08/05
  • 活字中毒R。緒方恵美さんが語る「碇シンジの初体験と『新劇場版』への困惑」

    『CONTINUE Vol.46』(太田出版)の「第1特集・ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」の「スペシャル対談:緒方恵美×中田敦彦(オリエンタルラジオ)」より。文は志田英邦さんです。 【中田敦彦:どうやって主人公の碇シンジ役についたんですか? 緒方恵美:実は、私は最初『エヴァ』のオーディションを受けられなかったんですよ。『エヴァ』の頃は、私が絶頂に忙しい時期で。アニメーションの収録が週に9、ラジオが3あったんです。アニメーションは1収録するのに5〜6時間抑えられるので、1日に2が限度。つまり、もういっぱいだったんですね。それもあって、当時のマネージャーがオーディションをお断りしてしまって。そうしたら、ある日『美少女戦士セーラームーン』の番組旅行があって、庵野秀明さんもいらしたんです。そこで初対面の庵野さんに「なんで、あなたは僕の作品のオーディションを断ったんですか? 僕が嫌いなんでし

    sijaku
    sijaku 2009/07/07
  • 宮崎駿監督を悩ませた、『風の谷のナウシカ』の「3つのラストシーン」 - 活字中毒R。

    仕事道楽―スタジオジブリの現場』(鈴木敏夫著・岩波新書)より。 【『ナウシカ』というと、ぼくがいつもふれるエピソードが二つあります。 一つは製作終盤のときの話。当然のように、どんどんどんどん制作期間をっちゃって、映画がなかなか完成しない。さすがの宮さん(宮崎駿監督)もあせった。じつは宮さんというのは、締切りになんとかして間に合わせたいタイプの人なんです。それで、彼が高畑(勲)さんとかぼくとか、関係する主要な人をみんな集めて訴えた。「このままじゃ映画が間に合わない」と。 進行に責任を持つプロデューサーは高畑さんです。宮さんはプロデューサーの判断を聞きたいと言う。そこで高畑さんがやおら前に出て言った言葉を、ぼくはいまだによく覚えています。何と言ったと思います? 「間に合わないものはしようがない」 高畑さんという人は、こういうときよけいな形容詞を挟まない。しかも声がでかい。人間っておもしろい

  • 井上雄彦さんに『バガボンド』を描かせた編集者:活字中毒R。

    漫画ノート』(いしかわじゅん著・バジリコ)より。 【先日、番組(NHKBS2の『BSマンガ夜話』)で取り上げたある作品の出版許可を貰おうと、キネ旬の編集者が、その漫画の担当編集者に連絡をしたところ、断られてしまったらしい。出演者が番組中にその漫画について話したことに対して、いちいち反論を載せさせてくれるのなら出版を許可する、と彼はいったという。ぼくが直接話したわけではないので、ニュアンスまではわからないのだが、それが当なら、編集者の作者に対する過保護、管理のいきすぎもここまできたかと思わせるエピソードだ。 (中略) それから、もうひとつ、『モーニング』で連載中の、井上雄彦、『バガボンド』だ。 『少年ジャンプ』であのバスケット漫画『SLAM DUNK』の超大ヒットを飛ばした彼の実質第二作が、他誌他社の、それも青年誌の、おまけに<宮武蔵>だったことに驚いた人は多いだろう。ぼくも、驚いた。

    sijaku
    sijaku 2008/05/18
  • 活字中毒R。就職の面接で、「すごくおっぱいが大きいけど、得するの?」と聞かれたら……

    「週刊SPA!2006.10/10号」(扶桑社)の鴻上尚史さんのコラム「ドン・キホーテのピアス・587」より。 【ここんとこ、ワークショップっつうのをやったり、新しい劇団のオーディションをしたりしています。 ちょくちょく書いている、僕が司会の『クール・ジャパン』というNHKBS2の番組で、面接の違いについて欧米人と盛り上がったことがあります。 ドイツ人もイギリス人も、そしてアメリカ人も、就職の面接の時は、「かなり攻撃的なことを聞く」んだそうです。 ドイツ人の説明が一番過激でした。 「離婚歴なんかがあると、『どうして離婚したの?』って突っ込まれますね。会社をいっぱい変わっていると、『なにかまずいことでも起こしたの?』って言われますね」 ちょっと信じがたかったので、「それは、なんのためなの?」と、素朴に聞けば、「とにかく相手を怒らせるのが目的なんですよ。怒った時に、相手がどうふるまうか、面接官

  • 活字中毒R。

    『なぜ日人は劣化したか』(香山リカ著・講談社現代新書)より。 【2006年も後半のことだったと思う。 「生き方論」などで定評のある雑誌から、原稿の依頼があった。「ストレス解消の秘訣」といったテーマで1200字という短い分量だったので引き受けることにし、締め切り日に原稿をメールした。構成は、「ストレスとは何か」という定義に続けて「ストレスが生まれる理由」を簡単に説明し、それに続けて「解消のために気をつけること」を3つほど書く、というごく常識的なもののつもりだった。 ところが、すぐに編集者から「書き直し」を依頼する返信が来た。 「いただいた原稿に問題がある、というわけではありませんが、こういった構成だと全体を最初から順に読まなければならず、途中で読者が飽きてしまう可能性があります。前半の定義や解説はすべて省き、解消法の部分だけを箇条書きにして、ちょっとした説明とともに書いてください。なお、解

  • 活字中毒R。

    『プロ論。3』(B-ing編集部[編]・徳間書店)より。 (作家・岩井志麻子さんのお話の一部です) 【ものすごく怖いのは生きている人なんですよ。何の疑いもなく、ためらいもなく、自分がいい人で、まっとうだと思っていたりする人がいる。そういう人の中に、ものすごい残酷さや差別意識があったりするわけです。自覚がない分、世の中で普通に恐れられている人よりもタチが悪い。これは怖いですよ。 特に私が興味を持つのは、生きている女です。しかも、見かけからして壊れた女とか、派手な女、ケバい女ではなく、ごく普通の主婦やごく普通の仕事をしている女。そういう女の中に、ドロドロした怨念のようなもの、野望のようなものを、激しく感じることがある。何だか私は仲間意識を感じるんですよ。向こうは絶対に違うと思っていると思いますけど(笑)。 では、なぜ女たちがドロドロするのか。例えば昔は、作家にせよ芸能人にせよ、特別の世界の人た

  • 活字中毒R。 - 長く仕事をしている割に人気の出ない漫画家の「悲劇的な傾向」

    『出版業界最底辺日記』(塩山芳明[著]・南陀楼綾繁[編]、筑摩書房)より。 (「2003年11月×日」の記述より。長年の「エロ漫画下請け編集者」としての経験から、「人気の出ない漫画家の傾向」について書かれたものの一部です) 【長く仕事してもらってる割に人気の出ない漫画家には、ロリ&劇画を問わず一定の傾向が。当人達は漫画を描くのが好きで仕方ないらしいのだ。だから決して手抜きはしない。しかし、読み手の立場が頭にないので、努力が明後日の方向へ脱線。(多分、一般漫画はともかく、同業者の漫画もまず読んでない)読者がエロ漫画を読む際に一番気にする、キャラの色気、SEXに至るまでの説得力、体位等のリアリティに工夫をせず、登場人物の数をやたらに増やしたり(描き分けられぬのに)、無意味な場所移動を繰り返したり(ストーリーが混乱、濡れ場が減るのみ)、ささいなネームに凝ったり。(誰も読んじゃおらん) どの編集部

  • 活字中毒R。 - 日本に対して最も好感を持っている国

    「ダ・カーポ」593号(マガジンハウス)の特集記事「日を好きな国」「日が好きな国」より。 【日に対して最も好感を持つ国といわれているパラオ共和国。この国の人たちの日への尊敬の念はすさまじく「タロウ」「ヒロシ」「ミノル」「ケイコ」「アケミ」など、名前に日名をつけてしまうほど。さらには「イチカワサン」「タニグチサン」など敬称付きで命名してしまうケースも珍しくない。 しかし、なぜミクロネシアにあるこの小さな国の人たちが、これほどまでに日を愛してくれるのだろう? 「20世紀末に日がパラオを統治していたからです。そのとき、日の人たちはパラオ人にとてもよくしてくれました」 とは、パラオ大使館のロリリン・デルバイさん。1914年、日は当ドイツ領だったパラオを占領し、1920年からは国際連盟によってパラオは日の委託統治領となった。その後日人は次々と移住し、1938年には首都コロールの

    sijaku
    sijaku 2006/11/01
    パラオの話。
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