震災の翌日に無事生まれた春介ちゃんを抱き、笑顔を見せる母の寺田雪さん(右)と父好作さん(左)=東京都杉並区の自宅で2011年4月17日、森田剛史撮影 東日本大震災の翌日、宮城県石巻市の民家で、津波から逃れた女性が男の子を産んだ。女性を励まし、お産を助けたのは、助産師、看護師らをはじめ、近くの小学校に避難していた被災者たちだった。【森田剛史】 女性は東京都杉並区の主婦、寺田雪さん(35)。3月25日の出産予定日に備え、2月中旬、石巻市の実家に里帰りしていた。3月11日午前の検診で「経過は順調」と告げられ安心したが、その日の午後、大地震が起きた。 姉の中村愛さん(37)と両親の4人で高台に逃げようとしたが、実家の前の道路は水かさが増し、すぐに1階が水没した。危うく2階に逃れたが、そこでおなかが痛み出した。 破水していた。何度もかけた119番はつながらず、どうすることもできない。傾き始めた家で布