朝鮮人が井戸に毒を入れている、といった類の流言が事実ではあり得ないことについては、震災当時でも、ある程度の科学的知識のある人々にとっては常識だった。そのことについてはこちらの記事にも書いた。 物理学者の寺田寅彦は、井戸への投毒と爆弾騒ぎについて以下のように書いている[1]。 例えば市中の井戸の一割に毒薬を投ずると仮定する。そうして、その井戸水を一人の人間が一度飲んだ時に、その人を殺すか、ひどい目に逢わせるに充分なだけの濃度にその毒薬を混ずるとする。そうした時に果してどれだけの分量の毒薬を要するだろうか。この問題に的確に答えるためには、勿論まず毒薬の種類を仮定した上で、その極量(きょくりょう)を推定し、また一人が一日に飲む水の量や、井戸水の平均全量や、市中の井戸の総数や、そういうものの概略な数値を知らなければならない。しかし、いわゆる科学的常識というものからくる漠然とした概念的の推算をしてみ
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