■恋愛がレジャーだった時代 1972年のデビューから「DAWN PURPLE」の91年までの楽曲を追いながら、ユーミンが世間に与えた影響や時代の変遷を辿(たど)る。著者はユーミンの後輩にあたるミッションスクールの出身。お嬢様学校出身者という階層が辿るライフコースとユーミンの世界観が重なるのも見どころだ。 ユーミンの歌に登場する恋愛の場面。「ノーサイド」は試合に負け、卒業を控えたラグビー選手の恋人がヒロイン。当時、高校生で「ラグビー部の男子の彼女になって試合を応援に行く」ことに憧れた著者は喝采の叫びを上げたという。社会階層高めの「ラグビー」というのが重要。野球じゃ成立しない世界観だ。そんな「レジャーとしての恋愛」時代が始まった80年代前半。 「ふりきるように駆けた階段 ひといきれのみ込む通勤電車♪」という歌詞の「メトロポリスの片隅で」のヒロインは、都会で働くシングルガール。 「30代以上・未