意見の分かれる深刻な問題について、学生にさまざまな意見を述べさせ、最後に教授がエレガントにまとめあげる。そうした「白熱教室」スタイルの授業は現在も人気です。しかし英国の名門校に留学してきた現役官僚の橘宏樹氏は「『白熱教室』は『オレの答え』を示さない。一方、英国の名門校はそうした欺瞞を許さない」と指摘します。2つの違いを「パターナリズム」という言葉で分析します――。 ※本稿は、橘宏樹『現役官僚の滞英日記』(PLANETS)の第3章「エリート再生産システムとしてのオックスフォード」の一部を再編集したものです。 上下関係を前提に教師がどのように学生を導くか 僕はこれまで、東京大学(学部及び大学院)とLSEとオックスフォードで高等教育を受けてきたわけなのですが、今、これら3校での体験を比較しつつ、ざっくりと「オックスフォードの教育とは何か」についてつらつら考えています。最近、その1つは、言うなれば