代表的な大衆魚のひとつであるサバは、日本市場に出回る多くが実はノルウェー産だという。そうなった理由はなぜか。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が解説する。 * * * 「秋サバは嫁に食わすな」と言われる(※編注:「秋なす」の誤植ではありません)。それほど秋~冬にとれるサバは脂がのって美味である……はずだが、最近では一年中、店頭でサバの姿を見ることができる。そして通年で出回るサバは、実はその多くがノルウェー産のタイセイヨウサバだという。 「現在、日本で消費されるサバの50%以上がノルウェー産のタイセイヨウサバです。スーパーで売っている塩サバや〆サバ、味噌煮や缶詰など、加工品の多くがノルウェー産で、なかには中国での加工を経由して入ってくるものもある。しかも、一般の消費者には、『真サバ』のイメージがいいようですが、水産加工の現場ではノルウェー産のほうが安定した品質だということは、水産関係者