「あなにやし、えをとめを(なんときれいな女性でしょう)」 緊張した面持ちの新郎が高らかに唱えると、新婦が応じる。 「あなにやし、えをとこを(なんと素晴らしい男性でしょう)」 雅(みやび)なやりとりで永遠の愛を誓う結婚式が、淡路島の伊弉諾(いざなぎ)神宮(兵庫県淡路市)で行われ、人気を集めている。同神社の祭神はイザナキノミコト(男神)とイザナミノミコト(女神)。古事記が日本列島の誕生とする「国生み神話」で、主役となる神々である。古語の会話は、2人の神が国生みの際に交わした言葉だ。 「誓いの言葉は、女性の方が堂々としているんですよ」と同神社の本名孝至宮司(67)は笑う。式では、結ばれた2人に神話に込められた意味も伝える。 「結婚は新郎新婦だけでなく、互いの両親や親族、先祖までがつながりを持つこと。その向こうに神様がいるんです」◆◇◆ ユーラシア大陸に沿って南北に連なる日本列島。起伏に富む地形と