財務省の奥深くにしまい込まれた1つの資料がある。「戦後財政史 口述資料」。戦後、歴代の事務次官や主計局長、主税局長らが退官後に、自身が現役時代に関わった政策について、その背景や経緯、政治との関わりなどを赤裸々に語ったものだ。基本的に公開を前提としていないため、時々に同省幹部がどう思ったのか、本音が書かれている。 今回本誌は、1959年から2001年までの次官と、財政を預かる主計局長、税制を受け持つ主税局長、国債発行を担当する理財局長ら、のべ60人の口述資料を情報公開請求によって入手した。 この資料を読み込み、またその官僚OB、あるいは政治家たちに取材し、1つのテーマを迫ってみた。既に1000兆円を超え、今も刻々と増え続ける「国の赤字はなぜ膨らんだのか」という大きな大きな問題である。 その中から浮かび上がってきたのは、財政の状況を無視してでも減税を繰り返して景気を維持、押し上げようとする政策