ブックマーク / cinemaking.hatenablog.com (172)

  • 第33回東京国際映画祭~その4 - 映画貧乏日記

    今年の東京国際映画祭で観た17映画を紹介するシリーズ。いよいよ今回が最後となります。 *各作品の予告映像などは東京国際映画祭のホームページにあります。 https://2020.tiff-jp.net/ja/ ・13目 「息子の面影」 2020年11月7日(土)TOHOシネマズ木にて。午前12時20分より鑑賞(スクリーン5) ~行方不明の息子を捜す母の衝撃の社会派サスペンス 仕事を求めてメキシコから国境を超えてアメリカを目指す息子。だが、まもなく一緒に行った友人が遺体で見つかる。一方、行方不明になった息子を捜すため母は国境近くへ足を運ぶのだが……。不穏な空気が漂うミステリー・サスペンス。同時に不法移民をはじめ貧困層を取り巻く過酷な状況を映し出す社会派ドラマでもある。様々な情報をもとに息子の行方を追う母と、アメリカから強制退去になった一人の青年がやがて交差し、想像もできない衝撃的な

    第33回東京国際映画祭~その4 - 映画貧乏日記
  • 第33回東京国際映画祭~その1 - 映画貧乏日記

    しばらくブログ更新が滞っていたのは、ただサボっていたわけではない。10月31日から明日11月9日まで開催中の第33回東京国際映画祭に参加していたからだ。 毎年、関係者向けのパスをもらって参加させてもらっているのだが、今年も皆さんのご厚意により参加することができた。 今年の映画祭は、コロナ禍で例年とは違うスタイル。規模を縮小し、賞を競うコンペティション部門を統合した「TOKYOプレミア2020」部門を新設し、観客賞だけを選出。ウェブ会議システムを使ったトークイベントなどを実施した。 とはいえ、私が参加する関係者向けの上映は例年通り、六木のTOHOシネマズ木のスクリーンでの上映。変わったのは、これまでは映画館内に列を作って開場を待っていたのに対して、今年は広場のチケットカウンター横に整列し、検温の後に入場するところぐらい。 私が参加したのは11月1日から日の8日まで。序盤は仕事だったり

    第33回東京国際映画祭~その1 - 映画貧乏日記
  • 「明日へ」 - 映画貧乏日記

    「明日へ」 2020年9月30日(水)GYAO!にて鑑賞。 ~笑いや感動とともに描く韓国の深刻な労働問題。日にも無縁ではない コロナ禍で仕事を失う人も多い中、興味深い映画を動画配信サイトで見かけたので鑑賞してみた。日では2015年に劇場公開された韓国映画「明日へ」(CART)(2014年 韓国)だ。 深刻な社会問題をエンタメの中で巧みに描くのが韓国映画の真骨頂。「明日へ」はまさにそんな映画だ。2007年に実際にスーパーで起きた不当解雇に対する闘争の模様を、笑いあり、涙ありで情感たっぷりに描き出している。 大手スーパーマーケット「ザ・マート」。入社5年でようやく正社員への昇格が決まったレジ係のソニ(ヨム・ジョンア)。だが、ある日、会社側は現場業務をすべて外部に委託するという理由で、非正規雇用者全員を一方的に解雇する。突然職を失うことになったソニと同僚たちは、労働組合を結成して一致団結して

    「明日へ」 - 映画貧乏日記
  • 「チィファの手紙」 - 映画貧乏日記

    「チィファの手紙」 2020年9月12日(土)グランドシネマサンシャインにて。午後12時50分の回(シアター9/D-8)。 ~岩井俊二の「ラストレター」の中国版。叙情性やノスタルジーは日版以上 今年1月に公開された岩井俊二監督の「ラストレター」は、手紙の行き違いから始まった2つの世代の恋愛模様とそれぞれの心の再生を、切なくそして温かく描いた作品。岩井監督の作品の中でも、個人的には好きな部類の映画だ。 その「ラストレター」と似たような中国映画の予告編を劇場で観た時には、「早くもリメイクされたのか……」と思ったのだが、どうやら違ったようだ。 「チィファの手紙」(LAST LETTER)(2018年 中国)は、岩井監督が「ラストレター」と同じく自らの原作を基に中国で製作した作品。しかも、製作は「ラストレター」が2019年なのに対して、こちらは2018年。何のことはない。「チィファの手紙」の方が

    「チィファの手紙」 - 映画貧乏日記
  • 「mid90s ミッドナインティーズ」 - 映画貧乏日記

    「mid90s ミッドナインティーズ」 2020年9月10日(木)グランドシネマサンシャインにて。午前11時10分より鑑賞(シアター8/C-9)。 ~不良に憧れる少年の成長。俳優ジョナ・ヒルの監督デビュー作 少し前に、俳優のシャイア・ラブーフが自身の体験をもとに脚を書いた自伝的作品「ハニーボーイ」が公開されたが、「マネーボール」「ウルフ・オブ・ウォールストリート」などの俳優ジョナ・ヒルも自伝的要素のある映画の脚を手がけた。「mid90s ミッドナインティーズ」(MID90S)(2018年 アメリカ)。自身が少年時代を過ごした1990年代のロサンゼルスを舞台に、13歳の少年の成長を描いた青春ドラマだ。しかも、こちらは自ら監督も手がけた監督デビュー作である。 映画の冒頭、いきなり暴力シーンが登場する。主人公の13歳の少年スティーヴィー(サニー・スリッチ)が、兄のイアン(ルーカス・ヘッジズ)

    「mid90s ミッドナインティーズ」 - 映画貧乏日記
  • 「れいこいるか」 - 映画貧乏日記

    「れいこいるか」 2020年9月2日(水)新宿K’s cinemaにて。午後12時15分より鑑賞(自由席/整理番号12)。 ~震災で娘を失った夫婦のその後をユニークなタッチで 思えば東日大震災の時には、東京がすさまじい揺れに襲われたこともあり、ある程度リアルな出来事として捉えることができた(現地の人々の体験には及ぶべくもないが)。それに対して、阪神淡路大震災はマスコミ報道等を通して情報を得ることが多く、どこか距離感を感じたりもしたものだ。 それでも、2011年公開の森山未來と佐藤江梨子共演の「その街のこども 劇場版」をはじめとする阪神淡路大震災を素材にした映画を観て、その被害が多くの人々の人生を狂わせたことを実感せずにはいられなかった。 「れいこいるか」(2019年 日)も阪神淡路大震災を扱った映画だ。新宿K’s cinemaでの鑑賞後に登場した、いまおかしんじ監督が語るところでは、震

    「れいこいるか」 - 映画貧乏日記
  • 「ソワレ」 - 映画貧乏日記

    「ソワレ」 2020年8月28日(金)テアトル新宿にて。午前11時45分より鑑賞(C-11)。 ~繊細な心理描写で描く若い2人の逃避行。芋生悠が素晴らしい この日、夕刻、安倍氏が首相辞任を表明したわけだが、そんなことになるとは知る由もなく、東京・新宿のテアトル新宿へと足を運んだのである。テアトル新宿は、主にインディーズ系の日映画を上映する映画館。新作がかかるたびに、かなりの頻度で足を運んでいる。 この日鑑賞したのは、「ソワレ」(2020年 日)。豊原功補、小泉今日子らが立ち上げた映像プロダクション「新世界合同会社」による初プロデュース作品である。監督は設立メンバーの一人でもある外山文治。過去に「燦燦 -さんさん-」などの作品がある。 映画はオレオレ詐欺の場面から始まる。いわゆる受け子として、ターゲットの老女から金を受け取るのは翔太(村上虹郎)という青年だ。彼は俳優を目指して上京したもの

    「ソワレ」 - 映画貧乏日記
  • 「糸」 - 映画貧乏日記

    「糸」 2020年8月21日(金)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午前11時15分より鑑賞(スクリーン9/E-12)。 ~中島みゆきの名曲をモチーフに平成の男女の運命を描く ピンク映画で活躍した後に一般映画に転じ、「感染列島」「64-ロクヨン-」「8年越しの花嫁 奇跡の実話」などメジャーな作品を撮りつつ、「ヘヴンズ ストーリー」「菊とギロチン」といった自主映画の名作も送り出してきた瀬々敬久監督。とても同じ監督が撮ったとは思えない幅広い作品の数々。まさに変幻自在である。 そんな瀬々監督の新作が「糸」(2020年 日)だ。TBSなどが製作で東宝配給だからガチガチのメジャー映画。1998年にリリースされた中島みゆきのヒット曲「糸」をモチーフにした作品である。正式なクレジットは、“Inspired by中島みゆき「糸」”。 ちなみに瀬々監督のフィルモグラフィーを見ると、出演者や原作者などの中

    「糸」 - 映画貧乏日記
    singark071781
    singark071781 2020/08/25
    素直な気持ち大事😄😄😄😄😄😄
  • 「アルプススタンドのはしの方」 - 映画貧乏日記

    「アルプススタンドのはしの方」 2020年7月29日(水)池袋HUMAXシネマズにて。午後12時40分より鑑賞(シネマ3/E-9)。 ~「はしの方」の高校生たちが輝きを見せる真っ当で熱い青春ドラマ はるか昔の高校時代にブラスバンド部にいたことがある。といってもほんの数か月の気の迷いだったのだが、それでも野球部の応援に出かけて演奏をした経験がある。あれはやっぱり燃えますなぁ~。 というわけで、高校野球を応援する生徒たちを描いた映画が「アルプススタンドのはしの方」(2020年 日)である。第63回全国高等学校演劇大会で最優秀賞に輝いた兵庫県立東播磨高校演劇部の名作戯曲が原作。この芝居は今も全国の高校で上演され続けているという。 作の舞台となるのは、夏の甲子園の一回戦。強豪校と対戦する母校(県立高校)の応援をするために、演劇部員の安田(小野莉奈)と田宮(西まりん)がやって来る。そこに遅れて

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  • 「女は冷たい嘘をつく」 - 映画貧乏日記

    「女は冷たい嘘をつく」 2020年7月23日(木)GYAO!にて無料鑑賞 ~2人の母の思いが絡みつくスリリングなサスペンス またぞろ新型コロナの感染者が増えて、東京では4連休中は不要不急の外出は避けろとの要請。だからというわけでもないのだが、この日はかなりの雨降りということもあり、映画館には行かずに動画配信にて映画を鑑賞。 鑑賞した作品は「女は冷たい嘘をつく」(MISSING)(2016年 韓国)。2017年10月28日からシネマート新宿、シネマート心斎橋にて開催の特集企画「のむコレ」で、日公開されたとのこと。何やらありがちなチープな邦題のせいもあり、あまり期待しないで観たのだが、これがなかなかよくできたサスペンスだった。 主人公はシングルマザーのジソン(オム・ジウォン)。1歳の娘ダウンの親権をめぐって元夫と調停中の彼女は、仕事で多忙な日々を送り、住込みの中国人ベビーシッターの女性ハンメ

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  • 「人間失格 太宰治と3人の女たち」 - 映画貧乏日記

    「人間失格 太宰治と3人の女たち」 渋谷シネクイントにて。2019年9月14日(土)午後1時10分より鑑賞(スクリーン2/D-8)。 ~太宰治を媒介に、欲望のままに生き自己を実現した3人の女性を描く 今でも人気の高い作家・太宰治。第二次世界大戦前から戦後にかけて、『斜陽』『走れメロス』『津軽』『お伽草紙』『人間失格』など多くの作品を発表した。その『人間失格』をタイトルに冠した映画が、「人間失格 太宰治と3人の女たち」(2019年 日)である。 ただし、小説映画化というわけではない。自堕落な生活を送る太宰が、『人間失格』を書き上げ、その後、愛人と入水して死を迎えるまでを描いたオリジナル作品である。 太宰治(小栗旬)は、の美知子(宮沢りえ)が3人目の子供を身ごもっているにもかかわらず、作家志望の太田静子(沢尻エリカ)と関係を持ち、彼女がつけていた日記をもとに「斜陽」を生み出す。静子は太宰

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  • 「台風家族」 - 映画貧乏日記

    「台風家族」 池袋シネマ・ロサにて。2019年9月7日(土)午後1時35分より鑑賞(CINEMA ROSA 2/C-8)。 ~銀行強盗の両親の財産を巡る予測不能で笑えるバトル 市井昌秀監督を知ったのは、第30回PFFグランプリ受賞作である2007年の「無防備」を観た時だ。心に傷を負った30代の主婦の絶望と再生を描いた作品で、監督の奥さんの今野早苗の実際の出産シーンがクライマックスで使われたことでも話題になった。 その後の市井監督は、星野源、夏帆共演の2013年の「箱入り息子の恋」など、「無防備」に比べてエンターティメント性の強い作品を監督している。元々はお笑い畑の人らしいから(「髭男爵」の元メンバーらしい)、それもむべなるかな、というところである。 そんな市井監督の最新作「台風家族」(2019年 日)は、来の公開時期より大幅に遅れての公開となった。そう。例の新井浩文氏の事件絡みだ。とは

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