近頃、保守派の論客と紹介されることがある評論家の呉智英氏だが、実は保守派と呼ばれるのを好まない。それというのも、オカルトや偽史に対して、保守派の人たちが親和的でありすぎるからだという。江戸時代からみられる具体的な実例をあげながら、保守とオカルトとの奇妙な親しさについて、呉氏が解説する。 * * * 最近「保守」がトレンディらしい。私も筆者紹介などで保守派の論客と書かれることがある。どうもお世辞のつもりらしい。他人が何と評そうと勝手ではあるが、私自身で保守派と称したことはない。私は自分の思想を「極左封建主義」と言っている。極左と封建主義がつながらないと思うのは思想史を知らない人の話で、王龍渓や李卓吾などは陽明学左派と呼ばれるし、禅学左派という名称もある(荒木見悟『仏教と儒教』など)。まあ私の場合は、極左冒険主義をもじった言葉であるのだけれど。 私が保守派と呼ばれるのを好まないのは、この人た