東日本大震災のとき、私は外資系の航空会社に勤めていた。混迷を極める原発事故に、日々続く余震、そして来るべく経済危機。あの時は誰もがみんな、明日何が起こるか、本当にわからない状況だった。 被災者の方とは比べるべくもないけど、外資系企業の社員、それも災害などの有事に弱いと言われる航空会社の社員というのは、東京で普通に働く会社員の中ではひときわ不安定な存在だったと思う。本社が日本に見切りをつけてビジネスをたたんでしまう可能性もあったし、実際にどこそこの外資は駐在スタッフを全員本国に引き上げた、などという話がちらほら耳に入ってきていた。 そんな心落ち着かない震災直後のある日、当時私は通勤の混雑を避けてかなり早く出社していたのだが、オフィスに着くと、まだ鍵がしまった扉の前で、身なりのいい外国人が携帯電話を見ながら立ち尽くしていた。 近づいて見てみると、見覚えのある顔だった。でも確実に知り合いではない
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